インタビュー

〈2024.7.10〉日本橋髙島屋S.C.本館で採用された「フレキシブルAMミニLEDディスプレイ」

超薄型LEDディスプレイを使って
限られた空間の中で革新的なデザインを追求。

日本橋髙島屋S.C.本館(東京都中央区)の正面ショーウィンドウ6面全てに、長瀬産業(株)が提案を進めている「フレキシブルAMミニLEDディスプレイ」が設置され、催事のプロモーションに活用された。ショーウィンドウならではの制限があるなかで、なぜ同製品が選ばれたのか。(株)髙島屋 企画宣伝部 クリエイティブディレクターの 研多氏と長瀬産業 エレクトロニクス事業部 インターフェース部の石川呉浩氏に話を伺った。


▲ 日本橋髙島屋S.C.のショーウィンドウに設置された「フレキシブルAMミニLEDディスプレイ」。厚さは1.5mm、重さ1面5kg、ピクセルピッチ1.2mm、明るさは600cd/m2(写真は「Life+Design」のプロモーション時の様子)





様々な条件をクリアし、採用されたLEDディスプレイ

 

———「フレキシブルAMミニLEDディスプレイ」を採用したきっかけを教えてください。

 ショーウィンドウの中にディスプレイを設置したいという思いから、髙島屋グループの総合広告会社である(株)エー・ティ・エーと連携して、日頃からディスプレイの情報共有をしていました。そんな中、大阪髙島屋で「フレキシブルAMミニLEDディスプレイ」を使うという情報を知り、それが非常に薄くて軽量で、どこでも設置できると聞いて、日本橋髙島屋S.C.でも使えないかと考えたんです。

———ショーウィンドウ内に設置する場合、“薄型”“軽量”であることがどのような効果をもたらすのでしょうか?

 ショーウィンドウ内に重い物を持ち運び、さらに設置するというのは簡単ではありません。過去にもモニターを入れたことはあったのですが、ショーウィンドウのバックヤードのスペースに制限があり、やれることに限界がありました。今回、超薄型で軽いLEDディスプレイを使うことによって、表現の幅が大きく広がりました。

———イベントに合わせて設置したとのことですが、どのようなプロモーション展開だったのですか?

 2つのイベントのプロモーションを順に行いました。最初は2024年2月29日から3月18日の期間に開催した催し『時代に生まれ、時代を超える「椅子とめぐる20世紀のデザイン展」ODA COLLECTION(以下、「椅子とめぐる20世紀のデザイン展」)』に合わせて設置しました。
 同催しは、椅子研究家の織田憲嗣氏のコレクションと食器や家電製品などを展示し、20世紀のデザインと生活を紹介する展覧会です。銘品と呼ばれるデザインの椅子の販売も行ったので、その椅子とバウハウスのデザイナーが作った食器などをショーウィンドウで展示し、お客様に展覧会が開催中であることと、各時代のデザインの特徴を訴求しました。

 続いて、同年3月13日から4月9日の期間に行われた『「好き」と暮らそう TAKASHIMYA Life+Design 2024SPRING(以下、「Life+Design」)』のPRで「フレキシブルAMミニLEDディスプレイ」を使用しました。これは髙島屋全店共通のプロモーションで、半期に1回、春夏のシーズンスタート時期に合わせて行っています。お客様の新生活に合わせていろいろなデザインの品を集め、お客様にお気に入りの商品を見つけてもらいたい、そんなプロモーションでした。
 プロモーションのメインビジュアルには、鮮やかな色彩使いを特徴とする画家・ 末松 由華利氏を起用し、静止画と動画をミックスしてショーウィンドウの中で展開しました。


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———「フレキシブルAMミニLEDディスプレイ」の特長を教えてください。

石川 「薄さ」と「軽さ」が一番の特長ですが、消費電力の低さも魅力です。
 このディスプレイは「アクティブマトリックス方式(※1)」を採用し、集積回路の搭載数が少ないため、発生する熱も少ないです。「パッシブマトリックス方式(※2)」の一般的なLEDディスプレイをショーウィンドウ内に設置すると、熱がこもったり、別途電源を用意しなければならないのですが、「フレキシブルAMミニLEDディスプレイ」ではそういったことを気にする必要がありません。

———ショーウィンドウの装飾にはどのような制限があるのでしょうか?

 使用できる空間のスペースが限られるということと、あとは装飾物の重さ、電気を使う場合には電力の問題などがあります。また、決められた時間内で作業を終わらせる必要があるので、あまり複雑なことはできません。
 このような様々な条件を「フレキシブルAMミニLEDディスプレイ」はクリアしました。今回、「椅子とめぐる20世紀のデザイン展」で初めて「フレキシブルAMミニLEDディスプレイ」を使ったときでも、装飾物の納品の待ち時間などを含めて4時間で作業が完了しました。「Life+Design」の時は2回目だったので、さらに短時間で作業が終わりました。

石川 「椅子とめぐる20世紀のデザイン展」と「Life+Design」のプロモーションは連続して行われたので、ディスプレイ以外の装飾物の入れ替えが必要でした。「フレキシブルAMミニLEDディスプレイ」を一度外してから、順番に装飾してまたディスプレイを戻すのですが、その作業も短時間で簡単にできました。



「フレキシブルAMミニLEDディスプレイ」。横から見ると薄さがより際立つ。軽量なので吊るして設置することができるほか、ベゼルがないのでアートとの相性も良い。筒状に巻くことも可能だ。




アートのようなワクワクするプロモーションを展開したい


———今後、また「フレキシブルAMミニLEDディスプレイ」を使う予定は?

 まだ決定ではありませんが、使う予定はあります。当社には「美術部」という部署があって、昔からアーティストの方と関わりがあることもあり、アート的な使い方、見ていてワクワクするような使い方をしたいなと思っています。
 日本橋髙島屋S.C.本館は、2009年に重要文化財に指定されました。もともと高橋 貞太郎氏の建築デザインに村野藤吾氏の近代建築の手法が相まって現在の館になっており、これが重要文化財に指定された決めてと聞いています。おそらく、日本の百貨店建築の中でも、左右対称にショーウィンドウを配したデザインの館は他にないのではと思います。今後も革新的なデザインを追求していきたいと思います。


(※1)液晶や有機ELディスプレイなどの駆動方式の1つ。ディスプレイ上の各画素にアクティブ素子(スイッチング素子)を配置することで、選択した画素ごとに信号のオン/オフ制御を可能にする方式。
(※2)液晶や有機ELディスプレイなどの駆動方式の1つで、格子状に張り巡らされた導線の各交点に画素を起き、縦横の両方が通電している画素を点灯/消灯させる方式。

 


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