映像美だけに留まらない。
経験に基づいた確かな提案、
製品とサービスで企業課題を解決する。
看板屋であり、LEDビジョンメーカーでもある(株)セイビ堂。映像美にこだわる同社だが、魅力はLEDビジョンだけではない。STB「MC-BOX2」、クラウドサイネージシステム「envi(エンヴィ)」、そしてLEDビジョン「SLED VISION(スレッドビジョン)」、それらをセットにして提供することで企業が抱えるさまざまな悩みを解決していく。今回はセイビ堂の代表取締役である阿部慎也氏に、同社の製品や取り組みについて訊いた。
ハードからシステム、保守までをパッケージして提案できる
———セイビ堂はLEDビジョンの製造・販売だけでなく、システムにも力を入れていますよね。
そうですね。弊社は、ビジョン、STB、クラウドサイネージシステム、保守サービスなどさまざまな製品・サービスを取り扱っており、これらを組み合わせて提案できることが強みだと思っています。製品を売るだけではなく、ソリューションとして提供したいと考えています。
Adobe Illustratorで動画を作るようなイメージ
———まず「envi」について教えてください。
「envi」は、IllustratorやPhotoshopなどのAdobeソフトを使っている人が使いやすいように設計しました。当社はもともと看板屋で、Illustratorを使って仕事をしていましたが、デジタルサイネージ事業に参入しようとした際に、使いやすいソフトがあると便利だなと思ったのがきっかけです。
使いやすいソフトとは、これまで使っていたソフトと似ていることだと思ったんです。イメージとしては、Illustratorで動画が作れる、という感じです。同じようなことを考えている看板屋さんも多いと思うので、そういった方に使ってもらいたいですね。
また、ドラック・ドロップで直感的に作業できます。動画や写真、テロップを貼り付けることはもちろん、InstagramやYouTube、天気予報、ニュースを流すことも簡単にできます。
あとは、CSVデータを取り込んでグラフを作ることもできるので、売り上げや会社の生産計画などを表示することも可能、社内報として会社で使うのもおすすめです。「envi」を使えば、店舗販促などのデジタルサイネージ以外にもさまざまなシーンに対応できると思います。
▲ クラウドサイネージシステム「envi」の作業画面。
セキュリティに関する知見がメーカーにも必要
———「MC-BOX2」はすでに納入実績も豊富かと思いますが、販売当初から変更した点などはありますか?
見た目は変わりませんが、中身は何度かバージョンアップしています。OSを新しくしたり、容量やメモリーを増やしたりしています。あとはセキュリティの部分ですね。
導入を検討している企業様のセキュリティに対する意識レベルも高くなっているので、メーカー側もセキュリティに関してしっかりした知見が必要になってきています。企業様がそれぞれセキュリティチェックシートを持っていて、100〜200の項目を確認していきます。それらを満たせないと導入してもらえない、ということが多くなりました。
6月に幕張メッセで開催される「デジタルサイネージ ジャパン2022」では、SONYの液晶ディスプレイ「ブラビア」に当社の「envi」をインストールした、特別仕様のブラビアを発表します。
———ブラビアをそのままサイネージとして利用できるんですね。
そうです。これには、当社のポータブルバッテリー「L-Power」も搭載しているので、電源も必要ありません。電源が必要となると、置く場所が限られてしまいます。また、お店ではコードが邪魔になることがありますので、バッテリーが搭載されているサイネージは使い勝手が良いと思います。
デジタルサイネージ ジャパンの開催に合わせ、デジタルサイネージ用のコンテンツ提供も開始します。すでにソフトはあるよ、という方向けに天気予報やニュースなどのコンテンツを提供します。デザインも多数用意しているので、空間に合わせて選ぶことができます。
もうひとつ、地球温暖化などの環境問題に少しでも貢献できればと思い、「クライメイトクロック」の無償提供を開始しています。
世界の平均気温が1.5℃上昇すると、人間と自然の両方にさらに大きなリスクを及ぼすと言われており、「クライメイトクロック」は、1.5℃の気温上昇を防ぐために残された時間をカウントダウンするタイマーです。無償ですので、ぜひ多くの人に活用していただきたいです。
▲「いばらきスポーツ&アートナイト」@カシマサッカースタジアム(茨城県鹿嶋市)
▲ ミクサライブ東京(東京都豊島区)
▲ セブンパーク天美(大阪府松原市)
用途に合わせて選べる豊富なラインアップ
———セイビ堂のLEDビジョンについて教えてください。
当社の主力LEDビジョンは「SLED VISION(スレッドビジョン)」です。「ULTRA HIGH RESOLUTION」、「スタンダードシリーズ」、「シースルービジョン」を取り揃えており、用途に合わせて選んでいただけます。さらに近日、自由自在に曲げることができる「フレキシブルビジョン」も新たに発売します。
それぞれ、屋内・屋外用のものを用意していますが、最近多いのは、屋外用を屋内に置き、ガラス越しに外へ向けて映像を流すという使い方です。
屋外用は輝度が高く、また当社の製品は「スタンダードシリーズ」でも3mmピッチがありますので、近距離で見られる屋内用途としても選んでいただけているのだと思います。
「ULTRA HIGH RESOLUTION」は、eスポーツの現場でも選ばれています。これまでの映像は1秒間に30枚の画像でできていることが多かったですが、プレイステーション5などは1秒間に60枚、120枚のものまであります。「ULTRA HIGH RESOLUTION」はこれらに対応しているので、動きをとても滑らかに、キレイに見せることができます。
———ピッチのラインアップは?
ピッチは10種類ぐらいあります。現状、販売はしていませんが、技術的には0.3mmピッチもできます。
当社で最も売れているのは3.9mmピッチで、屋外用で使われることが多いです。屋外用で3.9mmピッチはかなり細かいと思いますが、もうそういう時代なんでしょうね。
▲ セイビ堂のショールームに展示されている高精細大画面LEDビジョン。同ビジョンを使用してのeスポーツイベントの開催も予定している。
時間帯(周囲の明るさ)に合わせて自動で輝度を調整している
———光害の問題がたびたび話題になりますが、どのようにお考えですか?
LEDビジョンは、ただ明るくすればよいというものではありません。見やすくするために明るくするのです。ですので、当社ではまだ日がある明るい時間には輝度を上げて明るく表示させますが、日が落ちて暗くなると輝度が下がるように設定しています。周囲が暗い中、ビジョンが煌々と輝いていても眩しくて映像が見えにくいですから。こういうことをしっかりとしていれば、光害にはならないと思います。
———最近多いなと感じる仕事はありますか?
複数画面や大画面に4Kで再生したい、という要望が多いです。スタジオや部屋の壁、天井にプロジェクションマッピングで仮想空間を演出するというものです。
そういった場合、映像はつながっているように見えるのですが、実際は正面の壁、側面の壁、天井で再生機が異なります。そうなると映像がズレてしまうことがあるんです。1コマでもズレると違和感のある空間になってしまう。このズレをなくし、ぴったり再生するシステムを当社で制作し、提供することもあります。
———今後、AIを導入していく予定はありますか?
AIといっても色々あると思いますが、以前、カメラで人の顔を検知して、その人に合わせて広告を表示する、というようなことをやったことはありますが、パブリックなスペースではあまり効果的でなく、最近はやっていません。個室などで一人ひとりにアプローチできる環境ならよいと思いますけどね。
あと、こういう方が何人ぐらい通ったなど、統計を出すにはよいですよね。ソリューションを提供する当社としては、お客様に提案するときにも当然、こういった経験に基づいたこともお伝えし、導入を検討していただいています。
【問い合わせ】
(株)セイビ堂
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茨城県鹿嶋市長栖2156-93
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