2020年2月に、千葉県・幕張メッセで開催された「第7回ライブ・エンターテイメントEXPO」〔主催:リードエグジビション ジャパン(株)〕より注目情報をお届けする。
同展はコンサートをはじめ、フェスやミュージカル、スポーツ興行などの開催に必要な機材やシステムなどが集結するライブ・エンタメ業界最大級の見本市。会場内では、LEDディスプレイやプロジェクターによる映像演出を中心に、最新の演出ソリューションが披露された。3日間の総来場者数は35,467名(前年比9,595名増)を数え、大盛況となった。
▲ プロジェクションマッピングやLEDディスプレイによる映像演出と、日本の伝統的なパフォーマンスである「和太鼓」を組み合わせた“和”エンターテインメント。
太鼓やダンサーなどに映像が追従する
今回注目したのは(株)映像センターのブース。同社は、日本最古の歴史書である「古事記」の話をモチーフに、プロジェクションマッピング(以下、マッピング)やLEDディスプレイによる映像演出と、日本の伝統的なパフォーマンスである「和太鼓」を組み合わせた“和”エンターテインメントを披露。ステージでは、高性能メディアサーバーとトラッキングシステムコントローラーで動作を追従し記録する「トラッキングシステム」、これに映像を動かす「モーション・コントロールシステム(Kinesys)」を融合、迫力の演出に多くの来場者が注目していた。
▲ トラッキングシステムとして、カナダ・モントリオールに本社を置くVYV社の「PHOTON」と「ALBION」を使用。太鼓やセットの岩、ダンサーなどに映像が追従する演出は圧巻だった。
今回のステージ演出では、トラッキングシステムとしてカナダ・モントリオールに本社を置くVYV社の「PHOTON(フォトン)」と「ALBION(アルビオン)」が採用されている。「PHOTON」はリアルタイムで映像を生成、「ALBION」はステージに設置されたカメラから得た信号(映像)をコントロールする。この2つを使うことで非常に精度の高いトラッキングを実現している。
総合演出を担当した映像センター イベント映像事業部の鶴川和也氏は、このステージ演出について以下のように話す。
『太鼓をはじめ、セットの岩やダンサーなどに映像が追従するようにしています。ダンサーの方の手足にはセンサーを付けていて、躍った場所の床の桜(映像)がはらわれて舞い、軌跡ができるなど、動きにあわせて岩やLEDディスプレイに映像が反映されます。そして、太鼓にはマイクをつけてあるのですが、これは音をセンシングするためのものです。音の大きさや周波数がトリガーとなって、波紋が拡がっていきます。昨今、海外からも多くの方が日本に来られますので、今回のような“和”の演出はニーズがあると思っています』。
マッピング映像の投影には、バルコ社とクリスティ・デジタル・システムズ社の30,000ルーメン機種が各2台、パナソニック社の16,000ルーメン機種が1台の合計5台のプロジェクターが使用された。映像制作はエンパイアエンターテイメントジャパン(株)が担当。VYV社のトラッキングシステムを使用するにあたっては、ヘキサゴンジャパン(株)がシステムの提供と技術サポートを行った。