インテリアデザインを、
「コクヨ」×「ahd osaka」の合同チームが担当。
2022年11月、大阪市住之江区のミズノ大阪本社敷地内にてイノベーションセンター「MIZUNO ENGINE(ミズノエンジン)」が稼働を開始した。ミズノエンジンは、ミズノ(株)が研究開発力を強化し、スポーツによる社会イノベーション創出を加速させるためのだ。「はかる」「つくる」「ためす」を日々実践するための特殊な設備を一カ所に集約し、開発をスピードアップさせる目的がある。また、研究開発部門だけでなく、全グループ社員が自由にアイデアを語り合ったり、意見を交えることができる交流エリアを設けるなど、社員の知の結合による新たな価値の創造も見据えている。さらに、志に共感する多様なパートナーとのオープンイノベーションの促進も掲げているという。
同施設内のインテリアやサインのデザインを、コクヨ(株)のオフィス設計チームと、阪急阪神マーケティングソリューションズ(株)のクリエイティブユニット「ahd osaka」がタッグを組み、手掛けた。
空間、内装から、働き方までデザインする
インテリアのレイアウトやデザインに際し、コクヨとahd osakaのチームが設定したコンセプトは「NEWEST FUN 楽しさを、すべての起点に」。スポーツの起源は遊びであった、という説にヒントを得て提案したものだ。社員が自分で場所を選べるABW(アクティビティ・ベースド・ワーキング)の考え方を取り入れながら、「楽しさ」をきっかけに、自然と行動や交流を生み出したり、クリエイティブに働くための仕掛けが随所に込められている。また、空間のベースカラーをモノトーンにすることで、人の動きや、製品の存在感を際立たせる狙いもある。楽しい気持ちを呼び起こすとともに、楽しさの見える化も考えたデザインとなっている。
▲ 1階 メインエントランス。
▲ 中2階 スポーツバー。
▲ 2階 センターコート。
インテリアのコンセプトと一貫するサインデザイン
さらに、行動を誘発するきっかけづくりとして、施設内のサイン計画も実施した。ミズノのブランドロゴである「ランバード」から着想した独特な形状の矢印をデザインアイデンティティに、各エリアや部屋などに表示する様々なアイコンを制作。遊び心や先進性を感じさせつつ、空間全体のなかでミズノらしさが感覚的に伝わることをめざした。
▲ 「ランバード」の先端の形状を取り入れた矢印。
柱や壁、床面には、空間を大きく横断するような矢印や、運動競技をイメージしたナンバリングの意匠を配置。遊びの要素を散りばめることによって社員の間に偶発的なコミュニケーションをもたらし、新たなアイデアの発露、そしてイノベーションの創出へと広げていくようなデザインストーリーの下に表現されている。