S&Dセレクション

〈2022.10.7〉高機能ミニPC(STB)「ZBOX PROシリーズ」

痒いところに手が届くミニPC(STB)を
長期継続的に提供していきたい。

今年6月に開催された展示会「デジタルサイネージ ジャパン(DSJ)2022」において、LEDディスプレイなど派手な製品を展示しているわけではないが、一際賑わっているブースがあった。デジタルサイネージ用のコントローラPC(以下STB)を紹介した(株)ゾタック日本のブースだ。今回は、DSJ2022でも注目を集めた、同社の高機能STB「ZBOX PROシリーズ」に迫る。

 

 

▲ 「ZBOX PROシリーズ」

 

 

 

“小は大を兼ねる”
ロケーションフリーで使用可能な高機能・小型STB

 

 ゾタック日本は、香港に本社を置くPC Partner GroupのZOTAC Technology日本法人として2017年に設立。eスポーツなどで使用される、グラフィックスカードを中心とした製品販売を行う拠点となっている。
 同社が販売する「ZBOX PROシリーズ」は、中国・東莞市に生産工場を持つPC Partner Groupで生産。デジタルサイネージ(以下サイネージ)向けSIパートナーを通じ(各パートナーがSTBにサイネージソフトウェアを実装)、商業施設などに納入されている。

 ゾタック日本の取締役 兼 技術部 部長の松井 覚氏は「ZBOX PROシリーズ」について、『当社のSTBは “小は大を兼ねる”をキャッチコピーとしています。これは、小型であっても高機能なPCをも補完するという意味です。限られた設置空間でもZBOX PROならハイスペックソリューションとして設置できます。また、ファンレス機においてはファン回転による雑音や埃の攪拌がなく、静かでクリーンな空間の構築が実現可能です』と話す。

 同シリーズはLTE/5G通信機能を搭載(オプション開発対応)することで、電源さえあればどこでも、リモートコントロール対応サイネージとしての使用が可能となる。また、パソコンをベースとしているため、カメラを接続することで、サイネージの顧客情報を取得、その情報に合わせてコンテンツを表示するソフトウェアと連動させることもできる。

 

▲ 「ZBOX PROシリーズ」を搭載した案内サイネージ。〔写真提供:(株)トリム〕

 

 

 

リアルタイムにコンテンツ切替が可能なシステム構築も容易

 

 『サイネージには、決まったコンテンツをループで表示するものと、リアルタイムに得られた情報をもとに、ユニークコンテンツを表示するものがあります。エッジ解析などを行う後者の場合、顧客に合わせたコンテンツ表示を行うため、パソコンにハイスペックなCPUやGPUが必要です。当社は、これらを搭載したSTBをコンパクトな形で提供しています』と松井氏。

 「ZBOX PROシリーズ」は、公民館や結婚式場の案内表示、会議室の空き状況表示を行うサイネージなどでも多く採用されているという。このような場所で使用されるサイネージには、時間帯や日によってコンテンツの変更が求められる。同シリーズをサイネージに実装することで、リアルタイムにコンテンツ切替が可能なシステム構築も容易となる。

 

 

「EDIDエミュレーション」と「ウォッチドッグ」機能で
安定したサイネージ運用が実現

 

 ここからは「ZBOX PROシリーズ」の主な機能を解説しよう。
 まずは「EDIDエミュレーション」。4画面同時表示を行った際、キッティング場所と納品場所では必ずしも接続されているディスプレイの順序が一致するとは限らず、現場で再度設定し直しを求められる場合がある。こういった場合に便利なのが、表示位置を固定できるEDIDエミュレーション機能だ。4画面で一枚の大きな画としたいときなども、ハードが持つ属性情報を元に自動的に画を表示するため、本来は右上に来るはずの映像が右下に表示されてしまうというようなことがない。

 続いて、同シリーズの大きな特長とも言えるのが「ウォッチドッグ タイマー」。これはSTBの誤動作を検出し、回復させるために使用される電子タイマーのこと。STBが動作中に、タイマーを定期的にリセットし安全動作を確保する機能だ。タイマーのリセットが行われなかった場合、障害状況にあると判断し、システムを再起動してくれる。ウォッチドッグを使用することで、システムを監視して手動で再起動する必要がなくなり、システムの自立性が向上する。たまに見かけるフリーズしたサイネージもこの「ウォッチドッグ」機能で解決できるだろう。
 また、「ZBOX PROシリーズ」(PI336 pico PLUS、edge CI342)には、Intel UHD Graphicsを搭載。DisplayPort 1.4端子、HDMI 2.0端子をそれぞれ1つずつ搭載し、最大4K解像度にも対応。小さなボディながら本体だけで最大2画面出力、分配によってはさらに表示させることも可能となっている。松井氏は今後の展開について以下のように語る。

『当社は自社製のサイネージソフトウェアをもっておらず、ソリューションパートナー様と蜜に連携し、痒いところに手が届くSTBを長期継続的に提供していきたいと考えています。
 また、CPUグレード毎のラインアップを提供することで、ターゲットコストに合ったソリューション展開も可能です。計画的な在庫運用により安定的に製品供給できる体制を継続することと、高い製品信頼性の維持に努めてまいりたいと思っています』。

 

 



 ゾタック日本は、他メーカーと比べて、MOQ(最低発注数量)が少ないという面でも評価を得ている。もちろん大量導入を希望する場合でも問題ないが、テスト的に導入したいという場合にもおすすめだ。柔軟なカスタマイズ性を備え、簡易的なサイネージから複雑なサイネージまで幅広く採用されている「ZBOX PROシリーズ」。現在同社ではSIパートナーを募集中なので、興味のある方は下記まで問い合わせいただきたい。


【問い合わせ】
(株)ゾタック日本
Tel.03-6261-0318(担当:マルイ)
E-mail:info@zotac.co.jp
https://zotac.co.jp/nippon-select/inquiry/

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