環境負荷の低減と高生産性を両立、
多様なオーダーにも迅速に対応する。
イベントや祭りなどをトータルプロデュースする企業として、半世紀以上にわたり業界を牽引してきた東京企画装飾(株)。同社は2025年2月、埼玉スタジオ(埼玉県ふじみ野市)に新棟を建設、これを機に大判インクジェットプリンター「Durst P5 350」とスーパーワイドフォーマット対応のカッティングプロッター「Kongsberg C Edge」を導入し新たな事業を開始した。▲ 2025年2月より稼働中の「Durst P5 350」。
埼玉スタジオ新棟に「Durst P5 350」と
「Kongsberg C Edge」導入
東京企画装飾は、イベント会場のサイン製作や装飾だけでなく、テントの設営、模擬店やテーブル・椅子の提供、さらには地方自治体の祭りでのやぐら組みまで、イベントに関わるあらゆるニーズに応えている。
今回同社は、更なる事業の拡大を見据え、「Durst P5 350」と「Kongsberg C Edge」を埼玉スタジオの新棟に導入。これにより、大判のターポリン幕やファブリックサインの生産性が劇的に向上した。さらに、紙100%のエコ資材である「Re-board(リボード)」を活用した事業展開も本格的にスタートさせた。▲ 東京企画装飾 埼玉スタジオ(中央上の横長の棟が新棟)。
超高速印刷で作業時間を大幅に削減
「Durst P5 350」の最大の魅力はその生産性だ。実用印刷モードで325㎡/hという高い生産性を誇り、これまで東京企画装飾が使用していたプリンターと比べ、10倍の速さでの出力が可能になったという。同社取締役の大矢一雄氏は『以前は10mクラスの横断幕を製作する際、帰宅前にターポリンをセットし夜間に印刷、翌朝に仕上がりを確認という流れでしたが、今では日中で作業が完了するようになりました』と語る。
さらに、併せて導入した「Kongsberg C Edge」により、これまで外注や手作業で対応していた複雑なカット加工を社内で、短時間で完結できるようになった。これにより納期短縮とコスト削減を実現し、より多様なオーダーにもスピーディに対応可能となった。▲ 「Durst P5 350」とあわせて導入された「Kongsberg C Edge」。
▲ 「Re-board」で製作された“りんごの木”のディスプレイ(「SCビジネスフェア2025」の東京企画装飾ブースより)。
「Re-board」で環境負荷低減を図る
東京企画装飾が「Durst P5 350」と「Kongsberg C Edge」を導入した目的の一つが「Re-board」だ。耐湿性・耐久性に優れ、展示ブースや什器、壁面装飾など幅広い用途に対応できる「Re-board」は、同社が推進するSDGsの理念とも合致する。
東京企画装飾では廃棄の少ないリユース可能な「フレキシブルファブリックウォール」の開発・展開などを進めてきたが、これに加え、従来の木工+紙貼り装飾から「Re-board」へとシフトすることで、環境負荷の低減を図る。『イベント装飾は使い終わったら捨てられることが多いです。しかし、Re-boardなら再利用やリサイクルが可能で、資源の循環につながります。SDGsを意識した企業からの関心も高まっており、今後は小売業向けの商品棚などにも展開していきたい』と大矢氏は意気込む。
「Durst P5 350」であれば、「Re-board」へのダイレクト印刷が可能で、印刷メディアやラミネート加工の必要がない。通常、ラミネート使用時に発生する裏紙は回収が難しく産廃となるが、その心配もない。
同社の強みは、単なる装飾会社にとどまらず、イベント全体を一括で請け負える点にある。テント設営やサイン製作のほかに、ポップコーンマシンまで提供できる企業はなかなかないだろう。加えてシンユニティグループ(※)として、映像関係を得意とするグループ企業と協力し、例えばファブリックディスプレイにLEDビジョンを組み合わせた装飾なども提供可能だ。
新設備の導入を機に、より多様なニーズに対応できる体制が整った東京企画装飾。環境負荷の低減と高生産性の両立を図りながら、今後どのような価値を創出していくのか、引き続き注目していきたい。
(※)シンユニティグループには、タケナカ、シムディレクト、アークベンチャーズ、SWAGなど映像機器や映像演出に携わる企業も多く名を連ねる。
【問い合わせ】
東京企画装飾(株)
Tel.03-5948-3780(平日9:30〜18:00)
E-mail:tepros_query@symg.co
https://www.tepros.co.jp