縦型ブラインドにインクジェット出力、旧「赤十字子供の家」の園庭を表現する。
日本赤十字社 東京都支部が運営する児童養護施設「赤十字子供の家」(東京都武蔵野市)は、施設の老朽化に伴う移転新築工事を終え、2018年2月1日に竣工式を実施し、リニューアルオープンした。
▲ 2018年2月にリニューアルオープンした「赤十字子供の家」。「地域開放室」の窓には、以前の「赤十字子供の家」の園庭が描かれた縦型ブラインドが取り付けられ、近隣住民からも好評のようだ。
日本赤十字社と多摩美術大学の共同プロジェクト
「赤十字子供の家」は、児童福祉法の規定に基づいて、東京都児童相談所から家庭環境などにより、施設での保護養育が必要と判断された子どもたちを預かり、成長や自立を支える児童養護施設として1950年に誕生した。今回の「赤十字子供の家」のリニューアルは、多摩美術大学の教員らが学科を横断して集結し、学生を交えて取り組んだ共同プロジェクトだ。設計事務所が決定した段階で、日本赤十字社から多摩美術大学に共同プロジェクトを打診、同大学が建築以外の部分を担当するかたちで参加が決定している。
この取り組みの背景には、2011年から始まった産学共同プロジェクトが ある。多摩美術大学ではこれまで、同大学の実践・参加型授業「PBL(Project Based Learning)」において、日本赤十字社の血液授業に関するプロジェクトを実施してきており、PBLを履修した卒業生が日本赤十字社に就職し、新たな献血ルームの企画などにも関わっているという。
▲ 縦型ブラインドのグラフィックは、インクジェットプリンターで出力。
夜間は室内の照明で幻想的な風景が浮かび上がる
新しい「赤十字子供の家」は、様々な事情により家庭で生活ができない子どもたちや地域の子育て世帯のために、「家庭的な雰囲気」「子どもたちのプライバシー」「子どもたちの安全」「地域支援」を重視した造りへ。また、地域に貢献する開かれた施設として「地域開放室」も設け、近隣の住民が集える場や、施設を支えているボランティアの人の活動場所として活用されている。
この「地域開放室」の窓には、以前の「赤十字子供の家」の園庭が描かれた縦型ブラインドが取り付けられており、夜間には室内の照明により、幻想的とも言える風景が浮かび上がる。デザインは多摩美術大学でテキスタイルデザインを教える髙橋 正教授が手がけ、出力は大型インクジェット印刷を得意とする(株)サインアーテックが行った。使用インクジェットプリンターは「JV300-130」(ミマキエンジニアリング社製)。
今回、使用された縦型ブラインドは、横展開の大きなグラフィックには非常に効果的だ。羽の調整でグラフィックの訴求を落とさず、光の調節を行えることに加え、両面印刷により、片方から羽の回転で2画面見えるツインビジョンタイプなどにも対応している。サインアーテックでは、『データ編集により、画像のオーバーラップも処理しているので、それぞれのブラインドの繋がりも違和感なく、一枚絵のように綺麗なグラフィック表現が可能です』と、ウィンドウなどガラス面での使用をおすすめしている。
▲ 夜間は室内の照明により、ブラインドに描かれた旧「赤十字子供の家」の園庭がくっきりと浮かび上がり、その光景は遠くからでもはっきりと確認できる。
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