「龍角散ダイレクトスティック® 」の屋外広告

巨大な製品パッケージが渋谷の街に出現!!

　製薬会社である(株)龍角散は、「龍角散ダイレクトスティック」(ミントとピーチ)の製品パッケージをデザインした屋外広告を、2016年12月19日から渋谷駅近くのビル屋上に掲出している。

　社名にもなっている龍角散は、200年以上の歴史があるのどの薬で、江戸時代から存在する。比較的、高年層に愛用者が多い製品であったが、若い人にももっと使ってもらい、ブランドとしても若返りを図っていく必要があると2008年に発売したのが「龍角散ダイレクトスティック」だ。若い人が手に取りやすいよう、製品パッケージもスタイリッシュな仕様になっている。

　今回、渋谷駅に登場した「龍角散ダイレクトスティック」の屋外広告は、見た目が製品パッケージそのもので、同製品を知っている人であれば、ついつい2度見してしまうくらいのインパクトがある。

　龍角散の担当者は、今回の屋外広告について以下のように話す。

　『屋外広告を長期間にわたって同じ場所に掲出したことは、これまでほとんどなかったのですが、製品のパッケージをそのまま再現できる看板枠があり、しかもそれが2つ隣りあっているということで、これは「龍角散ダイレクトスティック」を訴求するのに、非常に良いメディアだと思い、出稿を決めました』。

　『実際の製品パッケージのデザインには光沢感があるので、どうせやるのであれば、看板も本物に近い色で出したいという思いがありました。ブルーとピンクの中でも、どういう色調にすれば遠くから見たときに本物と同じように見えるのか、そこにはかなりこだわりました。カラーチャートで何パターンもあわせ、何度も色校正を出していただきながら実現させました』。

　「龍角散ダイレクトスティック」の屋外広告は、既存の広告媒体をうまく使ったアンビエント広告とも言える。同じ形状の看板が2つ隣り合って並んでいる媒体というのは、実は少ない。同屋外広告は、この希少な媒体で“巨大な製品パッケージが渋谷に出現!!”といった企画を実現した、非常にユニークなものとなっている。

▲ パッケージの色やロゴの見え方にこだわってデザインされており、屋外ならではの表現方法をすりあわせながらデザインを起こし、色味を決めていったという。なお、ビル壁面では、パッケージの中に入っている包装をわかりやすく紹介している。(渋谷駅ハチ公口から見た光景)

LEDビジョンと組み合わせた広告展開の可能性

　デジタルサイネージが普及する中、あえてアナログな看板を選択した理由についても龍角散の担当者に訊いた。『やはり製品パッケージと同じ形だったというのが一番大きなポイントでした。また、すぐ近くに大きなLEDビジョン(シブハチヒットビジョン)がありますので、そちらと連動した企画も考えられます。例えばLEDビジョンで動画を流しつつ、後ろを振り返ると、「龍角散ダイレクトスティック」の巨大な製品パッケージがあるというような流れも組めると思います。

　もうひとつ、デジタルサイネージですと、ローテーションで広告が切り替わっていく、見る度に違う広告が流れていると思うのですが、アナログな看板であれば、常に同じ広告が掲出されているわけで、広告接触率で考えると、やはりアナログの方が良いのかなと思いました。特に今回のような製品パッケージを掲出するのであれば、デジタルよりもアナログの方が効果的だろうと考えました』。

　実際、反響も大きいようだ。同媒体は渋谷駅ホームからの視認性が高いほか、ハチ公口でよく行われているテレビの街頭インタビューにも映り込むなど、予定外のお得感もあったという。SNSによる情報拡散を意識した広告展開が主流の昨今、「龍角散ダイレクトスティック」の屋外広告は、間違いなく成功例のひとつと言えるだろう。

こちらの情報は月刊サイン＆ディスプレイ2017年4月号で掲載しております。