ネオンの技術を絶やさぬように その魅力を広告主に伝えていきたい
静岡市葵区にある「お茶の市川園」〔(株)市川園〕の屋上ネオン塔がこのたびリニューアルされ、業界内で話題を 呼んでいる。近年、看板も LED 化が進む中、久しぶりに見る大型のネオン看板となっている。
近年のネオン塔では最大規模、 使用したネオン管は総長1,214m
市川園の屋上広告塔の表示面は、これまで「茶」と「 ICHIKAWAEN 」だったが、市川園の本社や他拠点の施設に設置されているサイン、ホームページに掲載している書体を採用した「市川園」をメインに掲出。同社が通信販売という販売体制のため、顧客と顔を合わせられない分、広告塔を通じて、“安心・安全な商品”を静岡から届けている気持ちを表現したという。
なお、同広告塔にはこれまでもネオンが使用されていたが、広告主である市川園の『ネオンのあたたかい光り方が良い』という思いに応えるために、今回、ネオン面を 増設している。看板サイズは、高さ7m、横10m×2面・4.8m×2面。使用したネオン管の総長は1,214m と、近年施工されたネオン塔では最大規模(総電気設備容量は26,190VA)だ。企画・デザイン・設計・製作・施工は、アオイネオン(株)(本社:静岡市 駿河区)が担当した。
▲ 改修前サイン。右側面にバックボーダーは無かった。
「カーボン・オフセット・サイン®」で 点灯時のCO2排出ゼロ
市川園の屋上ネオン塔は、国道 1 号線、東海道新幹線、東海道線と主要道路・鉄道などが集約する場所に設置されており、多くの路線通行者に訴求できることから、主な販売エリアである地元住民をはじめ、県外の購入者へのアピール効果も期待される。
また、同ネオン塔は環境にも配慮しており、消費電力に起因するCO2の排出は、 東北被災地の森林保護事業に貢献することで削減したCO2と相殺。アオイネオンの 「カーボン・オフセット・サイン®」※の仕組みで、理論上はCO2排出ゼロの広告塔 として、環境保全だけでなく、被災地の経済支援にも役立っている。
アオイネオンは、今回のネオン塔の製作について、次のように語っている。『分業化が進む昨今、全てを自社工場で製作する機会はほとんど無かったが、久々の大規模ネオン工事ということで、「この機会を皆で共有したい。全ての製品を自社工場で製作したい」という現場担当者の熱い想いがこもった現場となった。
そこで弊社OBや、近隣のネオン協力業者様にも声をかけ、全国144 人のネオンマイスターの内4人が集結、社内社外を問わず、なるべく多くの人間で共有できるように製作、施工を進めた。
近年、現場管理中心だったスタッフや協力業者の皆様にも、皆生き生きとした表情で作業をしていただき、足場解体後の初点灯では、久しぶりに味わう達成感が得られた』。
LED化の波に押され、ネオン看板の需要は減りつつあるが、市川園の『ネオンのあたたかい光り方が良い』というような意見ももちろん多い。アオイネオンは最後に、『今後もネオンの技術を絶やさぬように、その魅力を広告主に伝えていきたい』 と語ってくれた。
※カーボン・オフセット・サイン®とは、看板の省エネ改良により、消費電力を大幅に削減するとともに、それでも使用しなければならない電力を起源とするCO2はカーボン・オフセットの取り組みにより相殺し、CO2排出ゼロの看板を実現するというもの。
▲ 社内での板金文字製作。
▲ ネオンマイスターによるネオン管製作。
▲ 工場を視察する市川園会長。
▲ ネオン職人達の表情が生き生きとしていた現場での取り付け。
■ 看板の所在地 静岡県静岡市葵区南安倍2-9-22(4階建)
■ 看板サイズ 高さ7m、横10m×2面・4.8m×2面
■ 竣工日 2016年11月25日
■ 企画・デザイン・設計・製作・施工アオイネオン(株)
問い合わせ
アオイネオン(株)
静岡県静岡市駿河区八幡 2-11-11
Tel.054-282-1221 Fax.054-285-5089
http://www.aoineon.com/
▲ ガラス管の曲げやガスによる発光であたたかみのある光。