ニュースリリース

〈2021.7.5〉キヤノンと日本IBMが芸術・芸能分野で協業開始。

 キヤノン(株)(本社:東京都大田区)と、日本アイ・ビー・エム(株)(本社:東京都中央区)は、芸術・芸能分野において、ボリュメトリックビデオ技術を活用した新たな価値の創出に向けて、2021年7月2日より協業を開始した。

 

 

 

▲ 宝生会監修能楽「葵上」

▲ 「葵上」ボリュメトリック映像イメージ

 

 

 

 ボリュメトリックビデオ技術は、空間全体を3Dデータ化する技術。コンピューターの中に作り上げられたバーチャル空間内のあらゆるアングルから映像を生成することができる。キヤノンでは、2019年のラグビー国際大会などのスポーツ分野での活用からはじまり、2020年7月には、キヤノンの川崎事業所内に「ボリュメトリックビデオスタジオ – 川崎」を開設、エンターテインメント分野にも活用の幅を広げていく予定だという。

 

 

 

 今回のキヤノンと日本アイ・ビー・エムの協業では、両社が持つ技術や製品、ネットワークを組み合わせ、芸術・芸能分野において、ボリュメトリックビデオ技術の活用とその幅広い可能性を知ってもらう機会を提供することで、芸術・芸能関連事業者や視聴者に向けて、新たな価値の創出・拡大を目指すという。

 

 

 

 具体的には、キヤノンは、撮影とほぼ同時に高精細な映像を生成するボリュメトリックビデオ技術により、新たな映像制作手法や視聴体験の提供とともに、映像による貴重な芸術文化の伝承に寄与。一方、日本IBMは、芸術領域における知見と経験を生かし、芸術・芸能関連事業者に向けた戦略策定や実行支援などコンサルティング・サービスを提供し、芸術・芸能分野のデジタルトランスフォーメーションを推進する。

 

 

 

 また、並列計算専用サーバーと広帯域ストレージを組み合わせた高品質・高速かつ安全な映像データ処理・配信などの技術サポートを提供することで、ボリュメトリックビデオ技術を活用したサービス価値の向上に取り組む予定だ。

 

 



 同協業の第一弾として、(公社)宝生会監修の能楽「葵上」のボリュメトリック映像を公開。ディレクターを務めた宝生流お家元・宝生和英氏の思い描く、能楽堂の舞台と精神世界とを行き来するイメージを巧みに表現している。

 

 

 

 同映像の制作で、キヤノンは実在する能楽堂をスキャン計測した3DCGや、ダイナミックな背景CGアニメーションの制作に加え、能楽師のパフォーマンスを「ボリュメトリックビデオスタジオ – 川崎」でキャプチャし、全体を統合する映像生成までをワンストップで行った。一方、日本IBMは、先進の並列計算専用サーバー「IBM Power System AC922」と広帯域ストレージ「IBM Elastic Storage System」を組み合わせた高速インフラの構築や技術支援により、リアルタイムの映像描写に必要な応答性能を実現した。

 

 


 キヤノンと日本IBMは、協業により、芸術・芸能分野における新たな価値創出を図るとともに、ボリュメトリックビデオ技術の活用分野の拡大を目指す。

 

 

 

(公社)宝生流お家元・宝生和英氏コメント

 


葵上の主人公・六条御息所の精神描写を、ボリュメトリック映像と3Dグラフィックとを融合させ、精神世界と能舞台との場面の行き来によって表現することで、映像として視聴者の元に届いた際に、どれだけ感動を伝えられるかを重視した。ボリュメトリックビデオ技術により、リアルな舞台とはまた違った新しい世界観を作り上げることができたと思う。

 

 

 

ボリュメトリックビデオスタジオ – 川崎について

 


キヤノンの「ボリュメトリックビデオスタジオ – 川崎」は、演者の一連の動きを全方位撮影できるスタジオである。100台超の4Kカメラで撮影され3Dデータ化された演技は、コンピューターの中に作り上げられたバーチャル空間内で再現され、あらゆるアングルから見ることができるため、新たな映像表現や演出が可能。撮影と自由自在なカメラワークを検討する編集工程を分離できるため、ワークフロー全体の時間短縮にも寄与する。同スタジオは、キヤノンの川崎事業所(所在地:神奈川県川崎市幸区柳町70-1)で2020 年7 月に稼働を開始し、これまで、音楽番組やバラエティ番組、ドキュメンタリー番組、テレビ CM、プロモーション映像、伝統芸能の「歌舞伎」や「能」とのコラボレーションなど多数の実績を持つ。 また、ボリュメトリックビデオをリアルタイムに生成できる機能を生かして、アーティストによる音楽やパフォーマンスのライブ配信においても新しい映像体験の提供を行っている。

 

 

 

IBM Power System AC922、IBM Elastic Storage Systemについて

 


IBM Power System AC922は、IBM/POWER9プロセッサーとV100 GPUアクセラレーターを搭載し、プロセッサーとGPU間およびGPU同士のNVIDIA NVLink接続により、ディープ・ラーニングやアナリティクスのアプリケーションのシステム・パフォーマンスを大幅に向上させることが可能。IBM Elastic Storage Systemは、ソフトウェア定義ストレージの最新のアプライアンス実装であり、ビッグデータ用に高速で拡張性の高いストレージを簡単に導入できる。 グローバル・ファイルシステムを用いた大量のデータを管理する高パフォーマンスの並列ソリューションで、高性能なSSD/NVMeストレージ・テクノロジーの性能を最大化する実績のあるデータ管理ソリューションである。

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