(公社)ACジャパンは、第17回「ACジャパン広告学生賞」の入賞作品を下記の通り決定した。
ACジャパン広告学生賞は、学生を対象に公共広告をテーマにした広告作品を募集・表彰し、公共広告への理解と社会に関わる「公」の意識を育むことを目的とした賞で、今回で17回目を迎える。「テレビCM部門」(30秒テレビCM)と「新聞広告部門」(15段新聞広告)の両部門で募集を行い、今年度「テレビCM部門」では、参加校35校(前年度36校)全244作品(前年度283作品)の応募があり、「新聞広告部門」では参加校30校(前年度29校)全529作品(前年度497作品)の応募があったという。
審査は「公共広告として優れており、人々に興味や気づきを感じさせる作品か」「学生ならではの感性や、オリジナリティ溢れるアイデア・テーマ性があるか」等を視点に行われ、その結果「テレビCM部門」では、耳マークをテーマにした『聞こえる優しさ』(東京工芸大学、制作代表者:滝口太郎氏)がグランプリを、フードロスをテーマにした『牛の気持ち』(武蔵野美術大学、制作者:河北瑠慧氏)が準グランプリBS民放賞を受賞した。「新聞広告部門」では、詐欺をテーマにした『良い人』(桜美林大学、制作者:飛田 奏氏)がグランプリを、食品ロスをテーマにした『#完食』(目白大学、制作代表者:久保田香帆氏)が準グランプリを受賞した。
「テレビCM部門」の2作品(30秒)はBS民放8局で、「新聞広告部門」の2作品(全15段)は全国紙5紙で、各々ACジャパン広告学生賞受賞作品として、7月からの1年間の間に放送・掲載される予定だ。
その他両部門で、審査員特別賞、優秀賞、奨励賞の各賞が決定している。
第17回 ACジャパン広告学生賞
1.主催:(公社)ACジャパン
2.後援:BS日本、BS朝日、BS-TBS、BSテレビ東京、BSフジ、WOWWOW、BS11、BS12 トゥエルビ、朝日新聞社、毎日新聞社、読売新聞社、日本経済新聞社、産経新聞社
3.受賞作品:
「テレビCM部門」(30秒テレビCM)
・グランプリ 1点
『聞こえる優しさ』
テーマ:思いやり
東京工芸大学 制作代表者:滝口太郎氏
《企画意図》
買い物の際にレジにあった「耳マーク」に出逢いましたが、そのマークの存在は世間一般に知られているマークではないと考えたのが今回の企画理由です。聞こえない人や聞こえにくい人に対して優しい世の中に近づけるために「耳マーク」をみんなに知ってもらえるような映像広告を作りたいと考えました。
《審査員講評》
・言いたい事が切実でそれをきちんと伝えている。言うべき事と演出がマッチしていてやさしく表現できている。
・マークの事を自分も知らなかったが、作者がこれを伝えたいという気持ちがよく分かり、同じ気持ちで受け取れた。その後、図書館やレストランなどで見つけることができたが、世界が広がった感じがする。
・準グランプリBS民放賞 1点
『牛の気持ち』
テーマ:フードロス
武蔵野美術大学 制作者:河北瑠慧氏
《企画意図》
・フードロスは誰もが日々身近に経験しているにも拘らず、見過ごされている問題です。食とは命をいただくことであり、繋ぐことであるという事を今一度考えて欲しいという思いからこの作品を作りました。まずは関心を持ってもらうために広告を楽しんで観てもらえるよう、皮肉でありながらもコミカルな牛の会話を意識しました。
《審査員講評》
・シニカルに面白く表現している。笑った。素人離れして達者。
・茶化しつつ、リアリティを持っている。構成力に脱帽。
・学生が楽しんで創っている。食料廃棄という関心が高い、今のテーマなのもよい。
・ラストにタイトルが上に上がっていく感じが面白い発想。この問題の入口をハンバーグにする発想もいい。突破力が凄い。
・審査員特別賞 4点
『見た目で判断できない障がい者』
テーマ:外見からは判断できない障がい者
東京工芸大学 制作代表者:城 紗有氏
『それでも僕らは』
テーマ:歩きスマホ
東京工科大学 デザイン学科 制作代表者:小森一輝氏
『海からの贈り物』
テーマ:環境問題
長岡造形大学 制作代表者:月田小夏氏
『アレルギーは、“きらい”じゃない。』
テーマ:食物アレルギー
大阪芸術大学 制作代表者:岡本愛美氏
・優秀賞 19点
・奨励賞 22点
「新聞広告部門」(15段モノクロ新聞広告)
・グランプリ 1点
『良い人』
テーマ:詐欺
桜美林大学 制作者:飛田 奏氏
《企画意図》
・詐欺師はとても巧妙な手を使ってくる。嘘もうまい。詐欺師の顔をした詐欺師はいない。捕まらない詐欺師はきっとすごく嘘がうまくていい人の顔ができるのだろうという考えから、簡単に信じてはいけないと、確認を促す広告を目指した。
《審査員講評》
・この顔で詐欺師。言われてみればこういう顔だから騙される。そうだなと納得させられた。
・コピーが上手。とてもいい原稿。このコピーと一見そう見えないイラストとの対比も良い。
・こういうアプローチは見たことない。この方が広告として効くと思う。
・このテーマは今まであまりなかった。誰が見てもよくわかる広告。
・準グランプリ 1点
『#完食』
テーマ:食品ロス
目白大学 制作代表者:久保田香帆氏
《企画意図》
・インスタ映えのために写真を撮るだけでなく、完食を目指して欲しいため、食べる前の写真を投稿するのではなく、食べ終わった写真と共に「#完食」をつけて食べ残しを減らそうという意図です。
《審査員講評》
・見た人がこの後どういう行動をすればいいのかがはっきり判る。機能する広告。誰もが今からできるアクションを訴求している。
・ムーブメントになる広告。本当に広がりそうな気がする。
・フードロスをテーマにしながらポジティブに解決しようとしている。フードロスの問題を「止めよう」ではなく逆の発想で考えている。
・審査員特別賞 4点
『Shall We Dema?』
テーマ:デマ情報
東北芸術工科大学 制作者:岡崎夏奈氏
『結局、ぼくたちってなんであの時売り切れたの?』
テーマ:デマ拡散
日本大学芸術学部 制作者:木下優里氏
『お客様は人間です。店員も人間です。』
テーマ:カスタマーハラスメント
相模女子大学 制作者: 下石 和氏
『鬼はかわいそうですか?』
テーマ:メディアリテラシー
京都芸術大学 制作者: 篠原茉優氏
・優秀賞 21点
・奨励賞 19点
ACジャパンについて
・(公社)ACジャパンは、1971年に関西公共広告機構として設立。1974年に(社)公共広告機構となり、2009年にACジャパンと名称変更した。「公共マナー」や「環境問題」など、社会にとって有益と思われるメッセージを、さまざまな広告の形で発信することにより、社会と公共の福祉に貢献することを目標として活動する民間の組織で、活動は約1,000社の会員社や個人会員からの会費を基に運営されているという。会員メディアからの広告枠の無償提供と、会員広告会社からの表現アイデアの提供が運営における最大の特徴で、日本全国の多くの民間企業が参加するボランティア活動の公益性の高さが認められ、2011年に公益社団法人に。