環境配慮と短納期を両立、
“楽しさ”を原動力にしたモノづくり。
大型サイン出力を主軸に、Re-board(環境配慮型エコ紙資材)を用いた什器やインテリアの製作にも取り組む(株)ミケランジェロ。顧客ごとの課題や要望に応じた提案型のモノづくりを強みに、インクジェット出力の可能性を広げている。現場を支える技術や運用の工夫について、副社長の髙橋美穂氏、プロデューサーの山本達也氏、マーケティング&セールスの丹野 和氏に訊いた。▲ ミケランジェロで稼働中の「VUTEk GS5500LXr Pro」。
エコロジーを求める海外、
施工性を求める日本
———クライアントの要望など最近の仕事の傾向を教えてください。
髙橋 ファブリックサインやRe-boardの仕事が増えています。特に海外の企業が日本の展示会に出展する際によく利用されます。
山本 海外の企業はエコを意識される方が多いです。当社ではそういった企業のために、Re-board以外にも制作時のCO2排出量を削減する資材「NOALX™」(ノンアルミ複合板)や、スチレンボードに代わる紙資材「Eco Paper Board」なども取り扱っています。
髙橋 資材だけでなく、インクに発がん性物質が入っていないかを聞かれることも多いです。お客様に安心していただけるように、当社ではインクについて詳しくまとめた資料も用意しています。
———国内の企業からはどのような商材を求められますか?
髙橋 日本の企業は、職人がいなくても施工できる商材を使いたいという方が多いです。そういう意味では、Re-boardも私たちが施工しなくてもお客様自身で組み立てられる商材なので、お勧めしています。
山本 Re-boardは“一見安価に見える紙製”というイメージを持たれることもありますが、実際には決して安価な素材ではありません。
ただし、リユースを前提に設計・活用することで、コストメリットが生まれる商材です。ダンボールとは異なり、1点からの製作が可能で、専門の施工者を必要とせず、さらに環境にもやさしい。これら3点がRe-boardの特長です。▲ ファブリック素材への出力などで活躍中の「durst D5」。
マットな仕上がりが好評を得た
アメリゴ・ヴェスプッチ号
———特に反響が大きかった事例を教えてください。
山本 昨年の8月に、世界一美しい帆船と言われているイタリアの「アメリゴ・ヴェスプッチ号」(※)が東京国際クルーズターミナルに寄港したのですが、その際に開催されたイベントの会場を装飾しました。通路にファブリックの壁を作って、ヴェスプッチ東京のロゴで掲出しました。全部で1,500平米はあったと思います。
髙橋 このファブリックへの出力には主に「durst D5(以下、durst)」を使い、サイズの大きい5m級のものは、「VUTEk GS5500LXr Pro」を使用しました。
山本 durstはマットに仕上がるのですが、イタリアの方はこれが好みのようで、とても喜んでくださいました。
(※)アメリゴ・ヴェスプッチ号は2023年7月に世界31ヵ国を航海するワールドツアーを開始、日本は17ヵ国目の寄港先となった。東京初上陸に伴い、東京国際クルーズターミナルでは、2024年8月26日から30日までの5日間限定でイタリアの歴史や文化を無料で体験できる「ヴィラッジョ・イタリア」が開催された。
約1,500平米を一週間で対応、
短納期と品質を両立する体制
———ミケランジェロが選ばれる理由はどこにあると考えていますか?
髙橋 製作物のボリュームが多くても、短納期を実現できているところが大きいと思っています。
丹野 国内で大型機を保有している会社は少ないので、大型のサイン製作に対応できることも強みです。
山本 約1,500平米を印刷した「アメリゴ・ヴェスプッチ号」の時の製作期間は一週間でした。大阪(本社)にも同じプリンターがあるので、外注することなく、全て自社で印刷しました。もちろん縫製も全て自社で手縫いで行っています。それでもしっかり納期に間に合っていますので、こういった対応力を評価いただいているのかなと思います。
髙橋 大幅なコスト削減や、通常では考えにくい短納期案件においては、一定のクオリティ低下が避けられない場合もあります。そうしたケースでも可能な限り対応できるよう、当社では各種シートに関する幅広い知識を蓄積しています。
また、これまでの施工経験を生かし、現場での作業効率を考慮した梱包方法を採用するなど、細部にまで配慮。使用環境に応じたシート選定にも注力し、厳しい条件下でもクオリティを最大限に維持しながら、お客様の要望に応えています。▲ 「アメリゴ・ヴェスプッチ号」の東京国際クルーズターミナル初入港時に開催されたイベント「ヴィラッジョ・イタリア」会場内の装飾。約1,500㎡を出力したという事例だ。
▲ Re-boardを使ったモニュメントの製作事例。Re-boardはリユースを前提に設計・活用することで、コストメリットが生まれる。1点から製作可能なのも魅力だ。
若手の活躍を後押し、
“楽しさ”を伝える職場づくり
———ミケランジェロの今後の展開について聞かせてください。
山本 当社からお客様に企画書を持っていって、仕事を一緒にやってもらえませんか、という提案をしていきたいと思っています。若い人材がたくさん入ってきているので、これまでやったことのないことにもチャレンジしたいです。
丹野 若手が活躍できるのもミケランジェロの特徴だと思っているので、私も積極的に企画や意見を出して、活躍したいと思っています。
山本 人手不足が続くなかで、なぜ若い人材が集まらないのかを考えると、仕事そのものに魅力を感じにくいという点があると思います。印刷業界は、今の若い世代にとってあまり身近ではなく、働く姿をイメージしづらい業種のひとつかもしれません。
だからこそ、まずは自社から「楽しく働ける場所」をつくりたいと考えています。そうした雰囲気が伝われば、「ここなら面白そうだ」と思ってくれる若い人たちが増えてくるはずです。
丹野 私は入社して3年目です。今の仕事が楽しいですし、好きな業界だと思っています。出力業社に特別興味があったわけではないですが、知らなかったからこそ、新しい発見がたくさんあって面白いです。
山本 仕事を続けるうえで大切なのは、自分なりの楽しみ方を見つけられることだと思います。もちろん、業務の中には単調だったり、大変だったりすることもある。でも、そうした「面白くないこと」をどう楽しむかという視点があるだけで、仕事の捉え方は大きく変わってくる。そうした前向きな考え方ができる人が集まる職場には自然と活気が生まれ、会社全体の雰囲気も良くなると感じています。
【問い合わせ】
(株)ミケランジェロ
東京都江東区新木場1-6-6
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