S&Dセレクション

〈2022.9.12〉第1回 KeePerコーティング ユーザーリポート(原町サイン)

看板清掃や幕の交換頻度が大幅減、
その分コストも削減できる。

サイン業界において、ターポリンや塩ビシート等へのインクジェット出力及び加工などを行う(株)原町サイン(本社:福島県南相馬市)。同社では2020年11月、KeePer技研(株)(本社:愛知県大府市)が販売するコーティング剤「キーパーコーティング」の取り扱いを開始、同コーティング剤を塗った付加価値のある看板提供で他社との差別化を図っている。今回は、原町サインの執行役員 東京事業所長である田村智男氏にその詳細を訊いた。

 

 

▲ 2020年11月より、原町サインが実証実験として行っているターポリン幕の掲出。左半分が「キーパーコーティング」、右半分は「ナノゾンコート」(光触媒コーティング)を施工している。




実績豊富な車用コーティング剤を
看板用として再開発

 

 「キーパーコーティング」は元々、車用に開発されたコーティング剤。一度塗ったら5年間(年に1回のメンテナンスを推奨)汚れることなく、キレイなボディを維持できるというものだ。カーコーティングでは、年間300万台の実績を持つ。
 この「キーパーコーティング」をベースに、KeePer技研が独自の知識・技術を活かし看板用として再開発、販売を開始したのが2020年のこと。看板の汚れや劣化を防ぐだけでなく、高い撥水力で、雨が降るとホコリなどの汚れが落ちて、大事なブランドイメージを守ることができるのも魅力だ。原町サインの田村氏は、初めて「キーパーコーティング」を紹介されたときのことを『サイン業界では実績がありませんでしたが、カーコーティングとしての実績がかなりあったので、十分に信用できました。多くのガソリンスタンドに“KeePer”のロゴが掲出されていますし、ディーラーさんでも取り扱っていますので、安心感がありました』と語っている。

 


高耐候性とセルフクリーニング機能で
長期的に掲出する看板に有効

 

 原町サインの東京事業所(埼玉県三郷市)では2020年11月より、「キーパーコーティング」の実証実験として、左半分は「キーパーコーティング」で、もう半分は「ナノゾンコート」(光触媒コーティング)を施工したターポリン幕を掲出している。施工から2年近くが経過した現在、少しだが違いが出てきているという。田村氏は『もっと時間が経過すれば違いが分かってくると思いますが、現状ではよく見ないと分からない程度です。ただ看板というのは、3〜5年後にどのような見え方をしているのかが大切だと思います。キーパーコーティングは耐候性に優れていて、セルフクリーニング機能もあるので、長期的に考えたときにメリットがあります』と話す。

 また、足場や高所作業車が必要になるような看板施工の場合、看板が汚れた際の清掃や幕の交換は容易ではない。これについても田村氏は『キーパーコーティングを使用することで、看板清掃や幕の交換に費やす時間は少なくなり、その分コストも削減できます。ファサード看板など長期にわたって掲出する看板には、特におすすめしたいです』と語っている。

 原町サインでは、「キーパーコーティング」を塗布したものを、看板屋を中心に年間で1,600㎡以上納品している。その施工先は病院や各種店舗、アミューズメント関連など幅広い。『コーティングの際も非常に塗りやすいですよ。そこまで深い技術はいらないので、手軽に塗ることができます。もし失敗したとしても上から塗れば問題ないですし、専用クリーナーもあるので修正は簡単です。印刷からやり直しみたいなことにはならないので安心です』と田村氏。同社でももちろん、「キーパーコーティング」の施工を行うのは講習を受けたスタッフだが、『この(埼玉県三郷市)辺りは車社会ですので、普段は自分の車を洗車したり、ワックスがけすることもあります。看板へのコーティングもその延長線上にある感じです』と非常に使いやすいようだ。
 もうひとつ「キーパーコーティング」の特長として忘れてはならないのが、すぐ乾燥するということ。『コーティングしてすぐに丸めてしまっても大丈夫です』と田村氏も満足している様子だった。

 

 

▲ キーパーコーティング施工事例(2021年12月)。どうとんぼり神座 寝屋川店(大阪府寝屋川市日新町3-3)。自立看板とファサード看板にキーパーコーティングが施されており、施工から半年が経過しても看板の汚れはほとんどない状態だ。

 


▲ キーパーコーティング施工事例(2021年1月20日)。福島県浪江町の海に近い場所にある看板だが、現在も綺麗な板面が維持されている。

 

 


サイン業界から建築業界まで
ビジネスの幅を広げられる可能性も

 

 「キーパーコーティング」に対する要望を田村氏に訊くと、『エアスプレーガンで施工できたら楽ですよね。特に大きな看板への施工や短納期のときには、そういったものがあると助かります』という回答が返ってきた。

 原町サインでは、例えば3m×10mの看板へのコーティングの場合、スポンジによる作業で、納期まで2日(これ以下の場合は1日)ほど要するという。当然、他にも様々な仕事の依頼を受けており、それらを同時に行わなければならないので、結果1〜2日は必要となる。『今まで2時間かかっていたところが1時間になれば、コストが下がるわけです。やはり時間=コストですからね。ですので、エアスプレーガンでやれるようになったら有り難いです』と田村氏は今後に期待を寄せていた。

 もしエアスプレーガンで「キーパーコーティング」を塗布できるようになったら、外壁など建築分野でも汎用できるだろう。さらに市場の大きな建築分野で使用できるとなれば、サイン業界でまだまだ満足できていない企業にとってもビジネスの幅を広げるチャンスとなるかもしれない。
 なお、KeePer技研では、エアスプレーガンタイプも開発中とのこと。


【問い合わせ】
(株)原町サイン
埼玉県三郷市栄4-275-2
Tel.048-951-0860
https://www.hm-sign.com

KeePer技研(株)
愛知県大府市吉川町4-17
Tel.0120-517-158
https://www.keepercoating.jp/corp/

 

 

▲ KeePer技研が行った「キーパーコーティング」の試験(屋外暴露)では、看板に対しても、優れた防汚性を発揮できることを充分に実証している。写真は「キーパーコーティング」を塗って一年以上が経過したFFシート。三分割した一番左が「キーパーコーティング」を塗った部分だ。

 

 

この記事を見た人はこんな記事を読んでいます