「FamilyMartVision」1万店舗達成、
新たなメディアの誕生から躍進まで。
2021年に設立された(株)ゲート・ワンでは、ファミリーマート店舗でのデジタルサイネージ・メディア「FamilyMartVision」の設置を進め、2024年3月に1万店舗を達成した。「販促物ではなくメディア」と強調する同社社長室の松岡 豪氏と沓掛脩司氏、セールスソリューション部の中村竜太氏に話を聞いた。
「FamilyMartVision」とゲート・ワンの始まり
ゲート・ワンでは、現在「FamilyMartVision」を中心としたデジタルサイネージ(以下、サイネージ)について、番組制作及び配信、広告枠の販売、設置に伴う調達から保守、メンテナンス、システム開発・運用などを行っている。同社は「FamilyMartVision」の事業拡大を目的に2021年9月に立ち上げられた会社であり、設立から3年を迎えようとしている。
遡れば会社設立前、(株)ファミリーマートでは今後のコンビニエンスストアの成長をいかにして推進するか議論が重ねられていた。コンビニを取り巻く環境は日々変化している中、海外に視線を向けると、北米の小売業界では自社の店舗網や顧客接点をビジネスへ活かす事例が広がり始めていた。この考え方こそが、やがて「基盤を活用した新規ビジネス拡大とCVS事業の基盤強化」というファミリーマートの現在の戦略へと繋がっていく。そして、この大きな成長戦略の中における打ち手の一つが、「FamilyMartVision」をはじめとする広告・メディア事業なのだ。
“キー局に相当するポテンシャル”に至るまで
いざサイネージの設置が決まってからも、ハードの選定やソフトの作り込みには独自の苦労が見え隠れした。具体的にハード面では、通常の商業用ビジョンとは異なり、24時間365日の使用に耐えられるものというのが大きな条件になる。またソフト面で言えば、店舗によって放映する映像を変えられるようにする他、店舗オペレーションで必要となる従業員向けの放送も漏れなく組み込む必要があった。
これらの課題をクリアしてもなお、設置に至るには加盟店や建物を所有する家主から了承を得なければならず、松岡氏は『全国に店舗を構えるからこそ、関わる人たちも非常に多い。日頃から加盟店との関係性を深めてくださっている、ファミリーマートのSV(スーパーバイザー)さんや、関係本部の方々の力あってこそ』と、感謝を口にした。
ファミリーマートの店舗数は約16,300(2024年3月31日現在)、来客人数は1日約1,500万人と言われている。沓掛氏は『キー局に相当するポテンシャルがある』と話し、コンビニという社会インフラのもと、信頼度が高いメディアとして成長を遂げている点に自信を見せた。さらに中村氏によれば、『SNSとの相性もすごく良い』とのことで、同社が制作した番組を一目見ようとファンが来店、その様子を投稿したことがSNS上でのムーブメントになったエピソードを明かした。このような来店客を惹きつける番組を、同社は2023年度だけで約1,000本制作している。
メディアのポテンシャルを後押しする新機能
さらにメディアの成長を後押しすべく、2024年3月からはモニター上のAIカメラを全国的に配置、コンテンツがどの程度見られたかの効果検証も進めている。沓掛氏は『私たちの強みは、お客様が購入した商品のPOSデータ、ファミペイアプリの利用データ、AIカメラの視認データなど、1st Party Dataを多く持っていること。こうした情報を分析して広告主にフィードバックしたり、より良い店舗づくりに生かしたりすることで、ファミリーマートを利用するお客様、加盟店、広告主、全員にメリットがある“三方良し”を実現できる』と話した。
加えて中村氏からは“地域”というキーワードも挙がり、次のように話した。
『昨今増えているのは、自治体様の案件。昨年は大阪府様と飲料メーカー様との協業で熱中症対策に関する啓蒙コンテンツを放映させていただいたが、これに限らず地域密着型の情報発信を望む声が大きい。コンビニエンスストアという場が地域に根差し、生活者の導線上にあるという点が評価されている』。
言わば、街頭ビジョンのような役割も担いうる「FamilyMartVision」だが、さらなる需要の開拓に向けて追加した機能もある。2024年3月から、地域や立地特性など細分化された単位での放映メニューが実現。より一層地域密着メディアとしての活用が期待できるようになったのだ。
社会的価値を生み出せる存在をめざして
以上のように、求心力を確かに高めながら進化を続ける「FamilyMartVision」。『私たちがめざすのは、“広告”だけではなくメディア。「FamilyMartVision」による様々な番組や広告を通じてお客さまのお買い物体験をより良いものにし、社会的価値まで生み出せる存在へ』と松岡氏が強調するように、サイネージの存在は、商品の販売促進や広告収入を得ることにとどまらない。現に番組コンテンツによる店舗体験の創造に加え、国内で災害が発生した際には、特定地域での注意喚起を促す情報発信も行っている。
なお、「FamilyMartVision」を通して告知した商品は売上が上昇し、ビジョンを設置している店舗の方がそうでない店舗に比べて集客数もアップしているとのことだ。“メディアとしての価値”を追求した結果、来店あるいは購買という行動に楽しさ・発見が加わり、店舗への印象や親近感が増したのだろう。ゲート・ワンは今後も、「FamilyMartVision」設置数の増加とコンテンツの充実に向け、地域とともに走り続ける格好だ。
【問い合わせ】
(株)ゲート・ワン
東京都港区芝浦三丁目1番21号
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