S&Dセレクション

〈2020.6.11〉屋外広告や店舗装飾の仕事に加え、危機管理対策の分野でも貢献する。

 

 

「ディスプレイサインボード事業」確立



 大型画像制作の専門企業である(株)ベレイマージが今年、創立20周年を迎える。同社は、創業者である仲村邦弘氏(現 代表取締役会長)がインクジェットプリンターによる色の再現性や美しさに魅了され、2000年11月に起業。これまで、主に屋外広告関連の大型画像出力を生業としてきた。しかし、昨今のプリンターなど設備の技術・品質向上と低価格化により、インクジェット出力業に新規参入する企業が増加。さらに世間の新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、状況が少し変わってきたようだ。

 ベレイマージは今年4月より、町屋佐知子氏が代表取締役社長(前社長の関口幸雄氏は取締役相談役)に就任、新体制で新たなスタートを切った。町屋氏は『ここ数年、この業界では同業者様が増えたことにより、競争の激化が進み、これまでと同じことをやっているだけでは、生き残りを図ることが難しいです。弊社では、2年前に新しい設備を導入し、新事業を始めました。今は、この事業をさらに伸ばしていくよう努めています。もちろん、これまでやってきたサイン・OOHの事業と、店舗装飾および商業施設の事業なども続けていきます』と語る。
 同社は2018年に、UVインクジェットプリンター「Rho P10 160(以下、P10)」(出力最大幅:1,600mm)と、超高速デジタルコンバーティングマシン「Kongsberg C64( 以下、Kongsberg)」(作業エリア:3,210mm×3,200mm)を導入。“UVダイレクト印刷+デジタルカット加工”による「ディスプレイサインボード事業」を確立している。それまで平面への出力を中心としていたのが、グラフィックが施された立体物をつくる技術が新たに備わったかたちだ。町屋氏は『P10は板ものにも出力できるタイプのUVプリンターです。P10で出力して、Kongsbergでカットし立体物を組み立てて、つくりあげていきます。この事業を1年半ほど続けてきて、順調に色々なものがつくれるようになってきました』と話す。

 ベレイマージでは、大型のものから小型のものまで、計8台のインクジェットプリンターをはじめ、カッティングプロッターや自走式高周波ウェルダー、ラミネーターなど加工設備も幅広く所有。クライアントの要望に合わせて、これらを使い分けているという。また、データ作成から出力・加工・組立・梱包・配送までの工程を、すべて社内で行っている。このような一貫製作体制も同社の強みだ。


▲ UVインクジェットプリンター「Rho P10 160」

▲ 超高速デジタルコンバーティングマシン「Kongsberg C64」

 

▲ Re-board16mm+塩ビ板2mmを使用した飛沫防止ガードパネル、Re-board16mm+LEDランプを埋め込んだチャンネル文字、Re-board16mmで製作+小口エッジバンドを巻いた台座、幼児玩具。

 

 

印刷業界がひとつになって協力しあって共存していきたい

 

 新型コロナ禍の中、ベレイマージではディスプレイサインボード事業において、新商品の開発・販売に力を入れている。対面接触時の飛沫感染防止アイテム(飛沫感染防止パーテーション)やガラス面の保護・飛散防止アイテム(飛散防止フィルム)、災害非難時における個人スペースの確保アイテム(間仕切り、簡易ベッドおよびトイレ、畳様敷物、収納什器 等)など、危機管理グッズの製作がその中心であり、新型コロナウイルスの終息が見えない現状において、非常に意味のある取り組みだと言えるだろう。町屋氏はこの取り組みについて、以下のように話している。
 『現在ですと、飛沫防止アイテムなど新型コロナウイルスの感染防止のためのアイテムに注目が集まっていますが、弊社ではさらに災害時の避難場所で使えるようなアイテムの開発にも取り組んでいます。例えば、畳様敷物もそのひとつなのですが、これは新しい資材であるReboard(リボード)に畳柄のシートを貼ったものです。見た目が畳なので、段ボールをそのまま使用するよりも心が休まるのではないかと思っています。また、床での生活が困難な方向けに、足をつけて小上がり仕様にして提供することもできます』。
 同社では、クライアントのニーズにどう応えるかを常に考えているという。町屋氏も『お客様のニーズにマッチした製品、サービスを提供して、皆様を笑顔にして差し上げることを、我々の喜びとしていきたいです』と話していた。また、『競争が激しい業界なので、各社が生き残りをかけて必死になっていると思いますが、できればお互いの良いところを高めあって、補いあっていきたいというのが本音です。(新型コロナウイルスの影響で)世の中がこういった状況だからこそ、協力できるところは協力しあって共存を図っていかれればと思っています』と新社長は胸の内を語ってくれた。

ベレイマージは今後、2030年に達成目標を持つSDGs(持続可能な開発目標)を視野に入れ、脱プラ・廃棄物削減を目標として、紙製什器・簡易梱包(梱包資材の削減)・eco関連グッズの提案も積極的に行っていく。


【問い合わせ】
(株)ベレイマージ
神奈川県綾瀬市大上1-27-14
Tel.0467-79-7488
http://blimg.co.jp




▲ チルランドリ一ハヤマ(神奈川県三浦郡葉山町堀内1968-7)
日本初となる、通常コインランドリーとペット専用ランドリー併設の24時間コインランドリー。店舗ガラス面や外壁など同店のグラフィックデザインとそれらの出力はすべてベレイマージが担当した。出力には、ガラス装飾が「UCJV300-130」(ミマキエンジニアリング社製)、その他のサインは「Color Painter M-64S」(OKIデータ社製)を使用している。

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