海苔養殖の風景を現代的にアレンジ、記憶を継承できるフォルムを実現。
JR大森駅の東口駅前広場(東京都大田区)が2020年3月にリニューアル。そして、この場所に「海苔養殖業発祥の地」記念碑が建立された。
▲ 「大森駅東口駅前広場」に建立された「海苔養殖業発祥の地」記念碑。
▲ バス通りに面した表示は歩道側から記念碑の存在をアピールできるよう、碑名のみを大きく表示した。
海苔養殖業の歴史を後世に残すために
大森は江戸時代に海苔養殖が始まった発祥の地であり、その技術はここから日本全国に伝えられていった。以来、明治・大正・昭和の初めまで、大森の海苔生産量は全国一位であり、品質も高く徳川幕府へ上納されるなど、海苔の「本場」として全国に確固たる名声を築いてきた。
今から60年ほど前、前回の東京五輪を控えた東京湾の改修工事を機に、大森の海苔養殖業は終焉を迎えたが、その後も大森は日本一の海苔問屋街として栄えている。年月とともに忘れられつつある海苔養殖業の歴史を後世に残すために、今回、大森駅東口駅前広場の暫定整備計画に合わせ、大森本場乾海苔問屋協同組合(おおもりほんばほしのりとんやきょうどうくみあい)が記念碑を建立することとなった。
▲ 「 大森駅東口駅前広場」の路面グラフィック。
「海苔の天日干し」をほぼ原寸大で再現
「大森駅東口駅前広場」の路面には縄文土器の文様をイメージしたグラフィックが施されているのだが、これは人と人との出会いを、波の波紋が重なり合い、影響を与え合う様になぞらえ、おおきな〇、ちいさな〇によって大胆に表現。そこには大森にちなんだ9つのトリビアも紹介されている。海苔養殖業発祥の地 記念碑はそんな「大森駅東口駅前広場」を囲む植栽帯内にある。
同記念碑は、従来の石碑のような、一瞥して終わってしまうものではなく、見た人との関係性が成り立つようなものにしたかったという。歴史や文化を、写真などを添えて紹介し、記念碑でありながら読み物としても成立させるとともに、記念碑自体が、モチーフである「海苔の天日干し」をほぼ原寸大で再現したデザインになっているのも特徴的だ。SUSフレームと内部セラミックプリント合わせガラスで構成され、表示面はSUSプレートにエッチング加工で表現されている。
今回、記念碑のデザイン・設計・施工を行ったアオイネオン(株)は『関係者の方々にとっては馴染み深い海苔養殖の風景を、現代的にアレンジしつつ、海苔養殖の記憶を継承できるようなフォルムとしました。また、ランドスケープデザイナーの入った広場の計画とミスマッチにならないよう、デザイン性が感じられる素材を選びました。特に海苔を模したプレートは、質感はもちろん、大きさもほぼ海苔1枚と同じ大きさにしたことで、リアリティーのあるサイズ感を演出でき、関係者からも高い評価をいただきました』と話す。
▲ 海苔養殖の歴史や文化をエッチングで表現。
▲ 海苔を模した耐候性鋼板の特殊仕上プレート。
■ 所在地
東京都大田区大森北1-2-1 大森駅東口駅前広場内
■ 企画
大森本場乾海苔問屋協同組合
■ デザイン・設計
アオイネオン(株)デザインスタジオブルーエッグ
■ 施工
アオイネオン(株)
■ 所有・管理
大田区
【問い合わせ】
アオイネオン(株)
静岡県静岡市葵区新伝馬1-3-43
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