東京・新宿駅東口で大型ビジョンを運営する(株)スタジオアルタが、広告業界の変化、競合の激化の中、新たな独自戦略を打ち出している。
▲ アルタビジョンとイベントを連動させた展開では、アルタ前広場に多くの人が集まった。
10万円でアルタビジョンにあなたの広告が出せます
『10万円でアルタビジョンにあなたの広告が出せますよ』と言われたらどうだろう? おそらく興味を持つ人も多いだろう。あまり知られていないが、アルタビジョンでは実際にこれが可能なのだ。
スタジオアルタは以前から、インディーズバンドのPV映像などを、アルタビジョンで、特別価格で放映できるというサービスを提供している。また、アイドルなどのファンが自身の“推しメン”を応援するための広告、いわゆる「応援広告」にも対応している。そして今後、こういった“個”を広告主とする広告放映を強化していくという。
SNSで拡散することで二次的な露出効果が生まれる
『YouTuberをはじめ、個の広告主の方の要望が見えてきました。みなさん、人を集めたい、SNSでもっと拡散させたい、バズらせたいという気持ちが強いです』と話すのはスタジオアルタ代表取締役の嶋田正男氏だ。同社は昨年、SNS上での影響力を持つインフルエンサーの支援を行う(株)BitStarと組み、VTuberを使ったオリジナル番組(BitStarが制作)をアルタビジョンで放映するという企画を試験的に行った。これについてBitStarのコーポレートユニット 事業開発マネージャーである原田 直氏は以下のように語る。
『当社が展開するバーチャルYouTuberによるネットラジオ番組「終末RADIO」を、アルタビジョンにて生配信をさせていただきました。ゲストとして多くのバーチャルYouTuberが参加し、30分にわたるトークバラエティ番組を展開しました。オンラインとオフラインのそれぞれが持つ価値を組み合わせ、新しい体験をつくることができたと思います。
YouTuberなどのインフルエンサーは、アルタビジョンに映し出されることで、大型ビジョンに出演できたという新しい体験や露出が得られ、またインフルエンサーのファンからはもっと応援したいという熱量が生まれます。その熱量がビジョンの前に多くの人を集めます。さらにインフルエンサーが「私、アルタビジョンに出ました」、ファンは「私の応援している〇〇さんがビジョンに出ました」というように、TwitterなどのSNSで拡散することで二次的な露出効果が生まれます。インフルエンサーにとって、大型ビジョンへの進出は新しく魅力的な取り組みであり、オンラインとオフラインを組み合わせた新しいかたちとして、今後も発展していくと思っています』。
▲ 新宿にゆかりのあるタレント、寺嶋由芙さんによる新春メッセージ映像を放映。あわせてSNSでも拡散された。
同じ場所でたくさんの人と感動を共有できる
人間は、人が集まっているところに集まってくる。パブリックビューイングがその代表例だが、同じ場所で、たくさんの人と感動を共有したいという欲求を持った人は多いだろう。SNS上で同じコンテンツを多くの人が見ているという事実があっても、そこに一体感は生まれない。大人数で共感、同じ体験をしたいなら、大型ビジョンはもってこいだ。
なお、新宿区では東京オリンピック・パラリンピックの開催にあわせ、新宿駅の東西自由通路の整備とともに、新宿駅東西広場および駅周辺の再整備を進めている。この整備が完了すると、新宿の人の流れは大きく変わり、アルタ前はより多くの人が集まれるようになる。アルタビジョンの前に人が集まってSNSで拡散、そしてまた人が集まる。このオンライン×オフラインの相乗効果は大きな付加価値となり、これまで広告を出すことができなかった個人の想いに応えてくれるだろう。
【問い合わせ】
(株)スタジオアルタ メディア営業部
Tel.03-3350-1290 Fax.03-3350-0478
https://www.studio-alta.co.jp/
この記事は「月刊サイン&ディスプレイ2020 2月号」に掲載されています。