今月のサイン&ディスプレイ

〈2023.2.10〉サイネージコンテンツ制作サービス「Clieta(クリエッタ)」

リソースの有効活用から
デジタルサイネージの価値最大化を図る

(株)JR東日本アイステイションズは、事業の一環として駅や商業施設等のデジタルサイネージ(以下、サイネージ)を運用する。さらに近年では、クライアントが持つ静止画像などを用いた動画制作も受注しているとのことで、担当者へその詳細を尋ねた。

▲ 5〜6名のスタッフが常駐し、依頼にはスピーディーに対応。


 

 

デジタルサイネージ事業は20余年前から

 

 そもそもJR東日本アイステイションズは、1997年に運行情報の提供を主として設立された。そして2002年からはサイネージ事業をスタートさせている。近年でこそ「デジタルサイネージ」という言葉が浸透し、広告媒体として普及しているが、20余年前ともなれば話は別だ。どうしてそんなに早くから?と尋ねれば、同社がJR東日本車両に設置されたデジタルサイネージの配信業務を担当したことに始まる。山手線へサイネージが導入されたのを皮切りに、以後、中央線快速、京浜東北線などさまざまな車両において広告動画や天気予報、ニュースなどを放映しているのだ。

 

既存の素材を活用するコンテンツ制作を開始

 

 そこから年月が流れ、新たに着手したのがサイネージコンテンツ制作サービス「Clieta(クリエッタ)」である。これはベースとなるデータを持つクライアントに対し、必要な仕様へ書き出す処理や簡単な加工を請け負うサービスだ。具体的には、過去に制作したポスターの画像やサイト制作に用いた素材などを預かり、出稿するサイネージに合わせてリサイズしたり動きをつけたりして納品する。リサイズであれば最短3時間から納品可能な体制を整えるなど、スピーディーな対応が強みだ。一方で『単に依頼通りではなく、必要に応じて提案も行っています』とJR東日本アイステイションズ サイネージ事業部の上野 彩氏は話す。と言うのも『サイネージには“ならでは”のフォントサイズだったり、文字の流し方だったりがあります。視認率を上げるにはどうしたらいいのか、といった点は長年サイネージ専門でやっているからこそ培われたノウハウではないでしょうか』とサイネージ事業部 部長を務める田口雅章氏が続いた。

 制作した一例として、(株)ジェイアール東日本企画の「チアリングアド」がある。ファン同士が集まり、タレント・ミュージシャンへメッセージを送る「応援広告」を出したい人へ向けた同社のサービスは、Webサイトこそあるもののサイネージに適した素材を持ち合わせていなかった。そこでサイトに用いられているイラスト素材を活用し動画を制作、コピーもアニメーション化して通行人にも伝わるクリエイティブを実現した。

 


サイネージの有効活用への思いをサービスに込めて

 

 現在、社内では専門のオペレーターチームを編成し、常時5〜6名ほどがスタンバイ。制作中のデータを用いてプレビューできるモニターも複数設置している。こうした体制のもとサービスを展開する中で、上野氏は気づいたことがあるという。それはクライアントの抱えていた潜在的ニーズだ。

 『コンテンツ制作を専門とする会社は数多くあると思いますが、そうしたところには“エンコードやテロップ追加といった軽微な作業はかえって頼みにくい”といった声を聞きます。そういう時に頼っていただくことで、助かったというお声も実際に頂いているところです』。

 現在もニーズに合わせて対応できる幅を広げている最中とのことだが、こうして事業領域をストレッチする背景として田口氏は『長くサイネージ事業に携わっていると、正直サイネージを設置して終わりのような、有効活用できてないケースを目にします。ただ、実際は活用してこそ意味を成すものに違いありません』と強調。さらに『当社はこれまで運行情報の配信に携わり、言わばスピードと正確性の双方を求められてきました。そうした企業の成り立ち、蓄積されたノウハウも生かして、サイネージをより良い形へ生かすお手伝いができたらと考えています』と話した。

 今後はインバウンド向けサービスやライブ中継サービス、障害検知サービスなども視野に入れている。デジタルサイネージの運用というポジショニングにとどまらず、幅広いサイネージソリューションの提供に期待がかかるところだ。


【問い合わせ】
(株)JR東日本アイステイションズ
東京都渋谷区恵比寿南1-5-5 JR恵比寿ビル10F
Tel.03-5447-7027
https://www.jre-is.co.jp/

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